かけらブログ

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【VR】特別定額給付金を原資にValve Indexを買ったら無料でHalf-Life:Alyxが貰えたのでクリアまでプレイした話

特別定額給付金を貰って還元した話。
VRすなわちヴァーチャルリアリティが個人の資本で楽しめる現代であるが、いざ自分がやろうとすると環境構築などでいろいろ整えるべき面が多かった。ほぼ勢いで購入したVRゲーミングのハイエンド機Valve Indexについての実際に遊べるようになるまでの経緯などと、Valve Indexを買うと無料で貰えるVRゲームHalf-Life:Alyxのプレイレポを書こうと思う。
購入の参考になれば幸い。

購入と環境構築

なんでいきなりValve Indexを買ったのか?

現行でヘッドマウントディスプレイ(HMD)は複数のメーカーが出しており、値段は安い奴なら数千円、高いのは十万円を超える。VRゲーム用のものに限ればコンシューマ機を一台買うとか家電を買うようなもので、独身貴族を謳歌するところの俺でも二の足を踏んでいた。それというのもVR自体がネットのシェア文化とミスマッチなのが大きい。現代人はなんであれ検索して口コミを見て実況見てレビュー見て他人の経験で足場を固めないと手を出せないのだ。しかしVRのシェア用の視点は所詮平面で、HMDをかぶらないとその真価たるVRぶりがわからん。けれども時たまシェアされてくるVRの遊びはその世界にしかない何かを有していることが伝わってきていた。主にVRC。あとVtuber

www.nicovideo.jp

www.youtube.com

教室の角と角の距離感でVR文化を眺めて過ごしていると、このコロナ禍でお国が一人頭10万円をお恵みくださるという。停滞した経済の歯車を動かすべく浪費せよと国が言うんだから使おうじゃない。VRデビューだ!

さてHMD自体は多くあるが、特にゲームに特化してリフレッシュレートや解像度が強いHMDについてブログやTwitterで情報を集めた。エントリー的な価格と性能でOculusシリーズ、そこからちょっと値段と性能が上がってVIVEシリーズやPSVR、さらに上に高機能高価格モデルでValve IndexやPimaxと言った風であるらしい。もちろんシリーズの中でもエントリー⇔ハイエンドのバリエーションはある。そしてVRにドハマリしている人はHMDを売って買ってを繰り返してよりハイエンドのモデルを狙うらしく、ゲーマー的にもハイスペを目指す風潮はあるらしい。沼に首まで浸かりきった偏った話ではあろうが、Pay to Winに一理はある。

俺は安物買いはしたくないタチで、予算も10万円と余裕があるので、当初はVIVEを考えた。中でも最新のモデルVIVE Cosmosは高い性能を持ち、価格もちょうど1特別定額給付金レベルである。この機種はインサイドアウト方式という、HMDのカメラで周囲を常時撮影して装着者の位置や挙動を認識させることでVR側の挙動を作る手法で、HMD単体で成立するVR環境になる。しかしTwitterを検索すると、カメラ撮影という簡易な手法であるがゆえ、性能面で弱点がいくつかあるらしい。特に後頭部あたり死角が生まれ、腕を頭上に上げるとトラッキングしきれないとの愚痴をよく見た。

かようなインサイドアウト方式(内→外)に対し、アウトサイドイン方式(外→内)も存在する。HMDと別にベースステーションを部屋に置き、そこを基準としたトラッキングを行える方式だ。VIVE Cosmosは更に上位にVIVE Cosmos Eliteというモデルがあり、これはアウトサイドイン方式である。価格は無印Cosmosから上がって11万円ほど。そしてVIVE Cosmos Eliteと同じくアウトサイドイン方式を採用し、性能面でも同等以上、価格も2万ほど高いのがValve Indexだった。この2機種を比較するブログは多くあるが、総じてValve Indexに軍配が上がるらしい。こうして”答え”は決まった。Valve Indexだ。

Valve IndexはSteamを運営するところのValveが出してるHMDで、この時世もあって品薄であるらしかった。しかしTweetDeckで検索カラムを開いていたら意外とすぐDegica FANというサイトの入荷情報が飛び込んできた。全てのタイミングがValve Indexに向かって流れていく。そしてポチったのが6/16。届いたのが6/18。箱開けてすぐ”Hello Worlds.”はエモ

Valve Index購入後の環境構築(主にメガネへの対応)

ポチった日の週末には無事開封となったわけだが、ここからプレイまでが長かった。Valve Indexはメガネをかけたままの装着が極めて困難な構造で、レンズとメガネが干渉したりクッションにメガネが圧迫されたりする。裸眼でVRを見ても現実同様にピンぼけで、またドライアイを患う俺にはコンタクトを着けての長時間ゲーミングは辛かった。13万円もするもの買った後に悩むことかという話だが勢いでやっちまった以上は対応するしかない。

例によってネットで調べると、VRsatileというモノが見つかった。メガネユーザ用に各種HMDに装着できるパーツで、メガネの処方箋を送るとガチのメガネ屋が作ってくれるらしい。この製品自体VR畑の人がクラウドファンディングで資金調達して始めたモノらしく、いい時代になったものだ。そういうわけで眼科に行くと、医者に「(もう視力にあったメガネがあるのに)なんで処方箋が要るの?」と聞かれたので「VRHMDに着けるメガネを作るのに要るんです」と答えたところ「じゃあちょっと強めに作っとく?」と打てば響く対応を頂いた。貰った処方箋をスマホで撮ってVRsatileのフォームに投げ、3週間ほどしてモノが届いた。

だいたいのゲーミング系HMDには対応するらしいので、メガネユーザかつドライアイ患者にはVRsatileをオススメしたい。

Half-Life:Alyxのレポ

どういうゲーム?

Half-Life:Alyxとは、Half-Lifeシリーズという洋ゲーの大看板の最新タイトルで、VR専用のゲームになる。Half-LifeシリーズはこのAlyx以前に1と2があり、FPS視点で探索や銃撃戦をする今日ではよくあるタイプのゲームの草分け的存在であるらしい。詳しくはWikipediaを参照されたし。カウンターストライクはこのゲームのMODから生まれたというくらいだから存在感のデカさがよく分かる。

ja.wikipedia.org

Alyxとはこのゲームの主人公である女性の名前で、Half-Life2にすでに登場していたそうだ。Half-Life:Alyxは1と2の間が語られるものであるが、ゲームが展開する世界は異次元世界の勢力から侵略を受けて敗北した地球で、Alyxはその勢力に反抗するレジスタンスの一員であるようだ。したがって異次元勢力の他、その手下となった人類や異次元の原生生物、異次元生物に乗っ取られた人類なんかが敵として出てくる。

無料プレゼントしますよ(来ない)への対応

Valve Indexを買うとHalf-Life:Alyxを無料でプレゼント!と公式が謳っているところだが、自動でSteamのライブラリに追加しますよとか言うくせに普通に全然来ないので、Steamのサポートにクレームを投げると良い。クレーム対応自体は早いので俺が参考にしたブログを貼っておく。Pimaxという別のHMDだがやることは同じ。

blog.ver001.com

ついでに俺が送ったクレームの文面も。上のブログによると英語で送れとか言ってくるらしいので予め日英両方で書いといた。これ一発で通ってやり取りはなかったので正解だと思われる。なお英文はDeepL翻訳くんである。

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ゲームとしての感想

VR体験を別として、ゲームだけで見るならば、Half-Life:AlyxはHalf-Life2(なんなら1も)を前提としたものになっている。特にエンディングはその傾向が強い。俺はHalf-Life2を知らないので、クリア後にスタッフロールが流れ始めたところで「えっこれで終わり?」となった。多分Half-Life2をプレイしていたならピースがハマるようなところだったのだろう。前作プレイ前提がシナリオを味わう上でほぼ必須というのはちょっと残念だった。ただValve Indexを買ってHalf-Life:Alyxをプレイするような奴がHalf-Lifeやってないわけないよな?というValveの姿勢も分からんでもない。1と2はいずれ履修します。安いらしいし。

VR体験の感想

前述したとおり、VR体験を差っ引いたゲームとしては残念な部分があるが、じゃあVRゲームとしてはどうか。

最高の体験の一言に尽きる。

一言じゃ何も分かんねえから補足していこう。まず、VRゲームとして最初にこれをプレイしたのは、後々のVRゲーム体験に禍根を残すのではないかと不安になるレベルで没入感がすごかった。
ゲームを始めて部屋からベランダに一歩出ると、ビルの下から大型機械が駆動音も荒々しく現れて、当然操作がおぼつかないのもあるがただ見上げることしか出来ず、自分を無視して通り過ぎていった後で一息をついてしまう。攻撃されてたら何も出来ずに死んでいただろうなと震えがくる現実感を叩き込まれる。少し進めると、エレベータを出ようとした瞬間に武装兵に銃を突きつけられる。兵士が何かを言う前に、反射的に両手を上げて棒立ちになってしまう。さらに進むと異形と化した人間の死体が転がっている。しかし本当に死体か? 銃で顔面をつついて無反応なのを確認して進む。これらがゲーム開始30分以内で起こるが、体感は10分そこらに思えるほどに強烈だった。

単なるリアリティを超えてVRゲームらしいギミックも沢山ある。というかそれこそがこのゲームの最たる魅力かもしれん。ゲームの序盤に物を引き寄せるグローブを貰えるのだが、手をかざすとその先にある物をフォーカスし、手を引き寄せるとそのフォーカスしたものを引っ張り寄せる事ができる。当然ながら飛んでくるものをキャッチでき、また放り投げる事もできる。他のゲームでも引き寄せ機能を持つ装備の類は多くあるが、VRで自分の手を動かしたとおりに反応がある点がとても楽しい。また、右手は専ら銃器を持っているので左手が引き寄せや投げを担当する。これを続けていると、右手が利き手なのにゲーム中で物を投げたり取ったりがヘタクソになった。

引き寄せグローブ以外にも実際の世界で出来るアクションはだいたい反映される。例えばドアノブをひねってドアを開けるのは攻略上で必須の動きだし、それ以外でも引き出しを開ける、冷蔵庫を開ける、木箱を壊す、壁の絵を外す、銃床でガラスを叩き割るといったアクションは物資補給や謎解きに不可欠だ。ヘルメットを持って頭上にかざすとかぶり、ガスマスクを口元にやれば装着し、縁日のお面をつけると視界が狭くなる。飛びかかってくる敵は手で払いのけることが出来るし、ザコ敵なら抱えたテレビで叩き潰して殺すことすら可能だ。なんとピアノまで弾ける。わりと突っ走ったゲームプレイをしてしまったが、こういう反応を掘り下げても良かったかも知れない。

銃とVRの話もしておこう。序盤にハンドガンを貰えるが、何の変哲もない銃なので、最初はサイトを覗いて狙いをつけることになる。しかし日本で生きてたら、警官や自衛隊になるかサバゲー趣味でもない限りそんなアクションを取ることはない。どういうことかと言うとサイトで狙いをつけることすら慣れが要るのだ。照星と照門を合わせてから撃つ、これが存外に難しい。トリガーを引く動きまでもがエイムのズレになる。カッコつけて片手で横倒しにして撃てるわけがなかった。拳銃でもちゃんと両手で構えよう。

これに加えて銃のリロードは全て自分の手で行う。空のマガジンを抜き、肩越しに次のマガジンを取り、マガジンを入れて、スライドを引いて排莢してようやく撃てる。普通のゲームならRキー一つで行うこの一連のアクションを自前でやると物凄くテンパる。ノロマなゾンビやザコの小型生物ですら距離を詰められると慌ててしまい、マガジンを抜き忘れて新しいマガジンを詰めようとしたり、排莢をし忘れてトリガーを引いたりと失敗例は枚挙に暇がない。そしてこれが敵の兵士との銃撃戦となると輪をかけて難しい。遮蔽物から頭を出すと即座に撃たれるのにどうやって狙えばいいんだよ。そういう事情から銃の強化でレーザーサイトをつけると途端にイージーゲームになるので、迫真のプレイがしたい人は敢えてレーザーサイトをつけないのも一つかもしれない。

また、このゲームでは異次元生物との邂逅がVRでふんだんに演出される。ザックリ言うなら別の星の生き物がいっぱい出てくるが、こいつらは総じて生理的におぞましい外見をしていて、無害な奴はまだキモいなりに穏やかな見た目だが、敵性生物ほど見た目でわかりやすくキモい上に本能的な嫌悪感を持つ姿かたちをしている。棘・毒・粘液・触手・寄生・生きながらにして体内に産卵、孵化…みたいなキーワードで思い浮かべればだいたい近しい。明るい屋外ならまだしも耐えられるが、このゲームではしばしば真っ暗なエリアに放り込まれ、左手甲のライトしか周囲を照らすものがない状況に置かれる。そんな環境で周囲からカサカサ動く音だけ聞こえてくるわけで、立ちっぱなしで動き回るゲームだが精神的ストレスで冷や汗や脂汗も大いにかくことになる。これをしてホラーというのはやや違う気もするが、VRホラーの可能性も感じられた。

総じて、VRゲームとしての体験はかなり高い満足を得られた。最初にこのタイトルをプレイしたことで今後のVR体験に不安を持つ程度に強いインパクトがあった。だが逆に言えば、VRゲームは当然Half-Life:Alyxを基準に作られていくわけで、それはそれで楽しみである。

プレイエリアの構築と反省

VRで遊ぶ以上、現実の肉体が周りに衝突しない環境が必要となる。推奨プレイエリアは左右2m×前後1.5mらしいが、都会の一人暮らしにはなかなか確保が難しい。とりあえず今ある環境でゲームプレイを始めてから様子を見る方針としたが、VRに没入するとマジで現実の環境を忘れてしまう。グレネードをアンダースローで放り投げようとしてメタルラックを思い切りぶん殴り、高速で飛び回る敵を銃撃しようとしてベッドを引っ叩いた。Valve Indexのコントローラーは結構壊れやすいらしいが、こうやって周りを殴ってるケースがその一因ではあるまいか。そして困ったことにメタルラックもベッドも動かしにくいので、苦肉の策でヨガマットを敷き、その上に乗って足がフローリングに触れたら戻るプレイでなんとかクリアまでは行けた。結局のところこれでは没入感を削いでしまうので、いずれ広い空間を確保できる家に引っ越したい、VRとは関係なしに。

まとめ

VRHMD購入とゲームプレイの感想は以上となる。
大まかな出費としては、

  • Valve Index 本体 13万円
  • VRsatile 1.3万円
  • メガネ処方箋 0.2万円
  • Half-Life:Alyx 0万円

…計 14.5万円

これに対して特別定額給付金10万円では赤字だが、これからVRゲームで遊べる環境が整ったと考えれば投資の一つだろう。なお次に遊ぶVRゲームは未定。とりあえずGhost of Tsushimaやるよ。