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【FF14】ロールクエスト全4種コンプリートのススメ(漆黒のヴィランズ5.0)【ネタバレ】

例によって漆黒のヴィランズのネタバレ含む記事だ! 未クリア若葉は絶対に読んではいけない

0.序文:ねらいと注意

はじめに、この記事は以下の構成としてある。

  • 0.序文(ここ)
  • 1.本文①:EXクエクリアのススメ
  • 2.本文②:EXクエクリアの感想(ながい
  • 3.跋文

序文はこの記事の目的とネタバレ注意のいつものやつ。本文を二編としたのは、ロールクエストを全4種クリアし、さらにその後のエクストラクエスト(以下、EXクエ)をクリアした立場から、EXクエ未クリアの人には極力ネタバレしないように前半の①でその重要さを伝え、EXクエをクリアした人向けには後半の②で俺個人の感想を読んでもらおうというねらいからである。
したがって、記事の漆黒メイン未クリアは序文まででお帰りいただき、EXクエ未クリアなら①までは読んで欲しい。
では以下から本文。なお死ぬほど長い。

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1.本文①:EXクエクリアのススメ

漆黒三大沼の話

漆黒のヴィランズが始まって早いものでもう二月が過ぎようとしている。漆黒6年パンチの初撃の熱狂こそ収まったが、界隈の熱気は未だ冷めやらぬものがあり、レベリングが落ち着いたプレイヤーには考察や二次創作といった方面に精を出す人も少なくない。そういったシーンにおける最大手は言わずもがなエメトセルクで、やや差があって水晶公、アルバートはさらにその後ろにつけている。

エメトセルク派が強すぎる投票結果
blog.with2.net

俺個人としてはこの漆黒三大メンズNPCには甲乙丙つけがたいものがある。まあだいたいの男は『想いを受け継ぐ』シーンがボッコボコに刺さるので大抵そうだと思う。エメトセルクは古代人達の全ての想いを受け継いで最後に立ちはだかり、水晶公は世界の想いを受け継いでプレイヤーを助けるために命すら捨てようとし、アルバートからは魂と世界を守る想いを受け継いだ。三人が三人ともいずれ劣らぬアツさと悲壮さ、覚悟がある。そりゃ涙腺も壊れるわ。

横にそれるがアツさについては第八霊災の世界におけるガーロンドアイアンワークスの数百年に渡る研究も外せない。IDのストーリーであんな心が震えたのも他にはない。アラグ技術の粋たるクリスタルタワー、時間を支配する蛮神アレキサンダー、星の海の彼方より来訪したオメガと、世界とプレイヤーを救うためにこれら全てを解き明かし倒してあの場に水晶公を辿り着かせた狂気の域にも達する探求心。これをなし得た原動力が巡り巡ったプレイヤーの冒険というのがたまらん。ロングフォールとあいまって泣ける。

さて、アルバートは実質的に唯一漆黒以前から出てるキャラとも言えるので、新しさの面でエメトセルクや水晶公にやや遅れを取ってしまうのは否めない。現代のストーリーで他のNPCと絡むシーンもほぼ無いし、登場は4種のロールクエストで描かれる過去編に偏っている。そのため、アルバートとその仲間のエピソードは普通にやってれば4分の1(EXクエを含めれば5分の1)しか見ずにメインストーリークリアとなる。メインストーリークリア時点の総合的なインパクトという視点では、上記の投票結果はおそらく多数派が納得するものだろう。

EXクエクリアを勧める二つの理由

普通のプレイでメインストーリーをクリアしたならエメトセルクに思い入れが強くなるのも上記のとおり自然なことだろうと思う。しかし、ロールクエ・EXクエを終えた時点では、個人的にはアルバートを含めた第一世界の光の戦士達が僅差ながら第一位の『沼』になっている。

第一世界の光の戦士達は、まさに非業の運命にあった。何かを失いながら辛い旅を続け、世界のために自死を選び、原初世界で敗れて元の世界に帰った後でさらに魂を使い果たして光の氾濫を止め、しかし今や大罪人呼ばわりされて現実にも罪喰いとなってしまった。アルバートを含め、彼らは既に死んでいて、最後は魂すら消えてしまったが、彼らの名誉のために戦わなくてはならない。メインストーリーが終わっても、プレイヤーの旅は終わらない。プレイヤーは受け継いで背負ったものがあるからだ。
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+++

さて、相当に長くなってしまったが、以上が前置きである。ロールクエとEXクエをやることは闇の戦士、そして英雄としての義務だと考えている。プレイを勧めている理由の一つはそういう考えに基づくものだ。

そして、二つ目の理由を示す前に、一つ思い出してもらいたい。ロールクエスト中、過去のシーンのムービーを見る時や光の戦士達の戦いを追体験する時、以前から仲間のような立ち居振る舞いの仲間が1人増えていたことを覚えているだろうか。当初我々が知っていた第一世界の光の戦士は5人だったが、知らない仲間が過去の第一世界にいた。しかし5人しか原初世界には来ていない。あの1人はどうなったのか? という当然の疑問に回答が得られるのもEXクエだ。これがプレイを勧める二つ目の理由だ。

以上ここまでがメインストーリーをクリアして、EXクエまでは未クリアの人に早くクリアしろと迫る理由のネタバレを抑えた範囲で書けることである。急いでやってくれ。
そしてここから、EXクエクリア者の人向けに、俺自身の感想を書こうと思う。予め断っておくと、ここから先はここまでの文章の4倍くらいある。くらえ。

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2.本文②:EXクエクリアの感想

本項では、4種のロールクエとEXクエについて、プレイした順に感想や、ちょっとした疑問とそれに対する考察などを書いていく。順番は、物理DPS > タンク > キャスター >ヒーラー >EX となる。EXクエクリアまでのネタバレをしているのでそこまで行ってないなら戻られたし。またつまみ食い的に読むのも勧めない。

物理DPS

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俺は漆黒開始時はメイン忍者だったので、メインクエストと並行して最初に物理DPSのロールクエを進めた。物理DPSのロールクエでストーリー上のターゲットとなるのは詩人のミコッテ、もといミステルのレンダ・レイを元とする罪喰いのアンドレイア。初登場の原初世界では「ジャ・ルマレ」と偽名を名乗っていた。ほぼ本名そのままぶっぱしてるアルバートを除いた他の3人は本名のもじり的な偽名だけど、彼女だけほぼ別名なのは謎。8/7PLLで語られたように、初登場時にそこまで背景を考えてなかったせいで後々作られた第一世界の世界設定と齟齬があったのかもしれない。もしくは、ミコッテ同様に氏族制を布いていて、一族の誇りを象徴する『レンダ族のレイ』といった意味の本名をもじった偽名を使いたくなかったということかもしれん。この辺りは世界設定本の解説とか漆黒秘話での登場が待たれる。

レンダ・レイはその過去とアルバート達に救われたことから仲間を第一とするのが身上で、そしてその性質を反映した罪喰いのアンドレイアも仲間を増やす性質を持っていた。自由を愛したレンダ・レイが罪喰いアンドレイアになったことで、かつての仲間と同じ種族・ジョブの人々を強引に仲間の罪喰いにして従えるという、束縛や拘束、もっと言えば洗脳のような行動原理を持っており、極めて皮肉な形になっている。他の四使徒でも見て取れるが、こういうシーンを見るにつけ『早く解放してやらなくては』という心を鼓舞される物があった。

一連のクエストの最後に、罪喰いの呪縛から解放されてクリスタルに残った記憶が現れ、レンダ・レイが英雄としての重圧に苦しむ本音が語られる。過去の仲間を失い、家族が死んでいたことも後で知り、世界は滅びかけている。もはや自分が頼れる者はアルバート達しかいないのだが、仲間は自死により異世界に行くことを決め、自分には仲間しかないと言って同じく死を選択する。この一連の流れではレンダ・レイは英雄としての運命に流されていたというか巻き込まれたような印象があり、逃げることなく役目を果たしたとはいえ描かれ方がいまいち罪喰いの名前のアンドレイア=勇気と噛み合わないところがあった。勇気というより仲間思いの点で献身とか忠勤とかそういう方が近い。この点はEXクエで補足されたが、バラム・キツェー戦で仲間を認め、その後から危険を顧みない戦いをするようになったことから勇気の狩人と称されるに至ったそうだ。原初世界で出会った時も一番イキってたしなるほどね。

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あとついでに、ロールクエストを発注してくる若造のNPCのことも書いておく。最初からやけに身ぎれいで、結局予想通りユールモアのボンボンだったが、本人は金しか寄る辺のない自分にコンプレックスがあったようだ。その割に共闘するシーンでは範囲はしっかり避けるし回復も的確で、覚悟を決めただけにしては妙に成長性が高かった。ゲーム的な都合もあろうが。実の親の有り様から育ての婆さんを取ってユールモアを飛び出したあたり、向こう見ずではあるがそんなに悪印象はない。こいつ自身が仲間に恵まれなかったのは自分の責任もあるが、レンダ・レイとの対比を表すものだろうか。キャラクターとしてはなんとなくフォルタン家の次男坊を思い出した。

タンク

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タンクのストーリーはFF14主役ジョブとの評判も高い暗黒騎士で進行した。クエストはルガディンもといガルジェントのナイトだったブランデンを元とする罪喰い、ディカイオシュネーを狙うことになる。原初世界ではブランヘルツを名乗っていたが、ブランヘルツは古ルガディン語で『暗い心』を意味するようで、後述するが心を押し殺した彼のエピソードにマッチしている。原初世界の戦闘ムービーでしばしば悪い顔をしていた40歳、5人の中では一番の年かさだ。

一方でディカイオシュネー討伐の話を持ち込んでくるクエスNPCは暗黒騎士のグランソン。ディカイオシュネーに村を焼かれたことで暗黒騎士となった彼の復讐に協力する形でタンクのロールクエはスタートする。ディカイオシュネーの足跡を辿ると最初のアンドレイアに比べて早くに接触するが、いきなり人を襲って罪喰い化させてしまう衝撃的シーンに遭遇する。アンドレイアは前述の通り人間の形をそのままに罪喰いにしたが、ディカイオシュネーはザコモンスター型の罪喰いにするため、場所がアム・アレーンなのも相まってメインストーリーのテスリーンと重なり、タンクでメインを進めた人にはなかなか重いものがあったのではないだろうか。ちなみに俺はメインクリア後だが暗黒騎士で進めたので、グランソンが復讐を志すのと大剣使ってるところに結構シンパシーがあった。

ロールクエストを進めていくと、ブランデンの人となりが分かってくる。ナイトだけあって忠義の人で、忠義ゆえに忠を誓った主を倒さねばならない運命を背負い、忠義を立てた人を失ってから飛躍的に強くなったという話が悲しい。そして罪喰いディカイオシュネーとなっても、主に縁ある宝を奪い返そうとする忠義が失われていないのも辛い。また、クエスト中で罪喰い化させた人物はグランソンの妻とスカベンジャーで、どちらも結婚している描写のあった人物だった。仮にブランデンの意識があったとして、自分と自分の主との関係に近いものを自身の忠義から壊してしまったと気づいたら、なんと呪われた運命かと思うだろう。

タンクのロールクエストは、倒すべき相手としての罪喰いに、クエスト中の相棒のグランソンと同じく何らかの共感を持ってしまう作りになっていると思う。他のロールクエストが全くそうじゃないとは言わないが、タンクは特に顕著だと感じる。最後の戦いの後、グランソンの『その身体はお前が使っていいもんじゃない』という叫びに、タンク含めロールクエスト全てが象徴されている。その後で想いの残滓がつかの間現れるシーンと、その想いが記録された後の運命を思うと、ブランデンの魂が解放されて幸福なところに向かえたことを祈らずにはいられない。

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あと、グランソンはクエストを全て終わらせるとクリスタリウムから出ていってしまうが、故郷の村の東の外れにいるので、訪ねてみるのもいいだろう。ジョブしか共通してないが、ひょっとして第一世界のフレイに当たる人物だったりしないかなと目元を見比べてみたりした。よくわからんかったけども。

余談ついでに、ブランデンの主であるところのソールディア姫には妹がいたことが示唆されているが、イル・メグのAランクリスキーモブの片方はその妹と同じポールディアと呼ばれている。このポールディアは城の地下に捕らわれていたとのことで、姫の妹もまた野望の糧とされていたようだ。イル・メグのマップはアマロ以外全部闇かよ。

キャスター

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キャスターのロールクエストは漆黒最強キャスターと名高い黒魔道士で進めた。そして対峙するのが同じく黒魔道士のナイルベルトだった罪喰い、プロネーシス。原初世界の初登場時はナイユベールと名乗っており、同じ名前を英語読みするのとフランス語読みするような違いだろうか。元々の設定で寡黙というのに加え、顔が黒魔AFで隠れているのもあって極めて印象が薄い。最初に戦った時に君何か喋ってた? というレベル。また、プロネーシスは知恵を意味するギリシャ語なので、エルフのイメージもあって高慢なインテリキャラかと思ってた。

エストは相棒であるケリッグという賞金稼ぎと、相棒とは別にキーマンであるテイナー、この2人にプレイヤーを合わせて3人で進めていくようになる。ケリッグは金目当てのスレた賞金稼ぎと思いきや、記憶も出自も怪しい子供のテイナーに何くれとなく世話を焼く気のいい兄ちゃんで、漆黒NPCの中でもかなり上位の聖人だった。しかしこいつも弓を背負っているけど武器被りはどうなの吉田。動かしやすいのかもしれないけどキャスターの相棒だし近接DPSとかでも良かったんじゃないか? あとテイナーはストーリークリア後に話しかけるとイシュガルドのオノロワを想起させるキャラに落ち着いている。

プロネーシス討伐のために調査を進めると、テイナーもナイルベルトも魔道士の血筋で兄弟同然に育ち、競馬馬よろしく強い血統を目指して交配を重ねたサラブレッドだったことも分かる。生まれ育ちがこれだけ明確なのはこのナイルベルトとヒーラーのラミットくらいのもので、さらに当人が黒魔道士の技を修めている理由まで分かっているのはナイルベルトだけだ。テイナーもナイルベルトもエルフ族なので、レイクランドのエルフの国が抱える魔術師集団に連なる者かと思ったが、過去の修行シーンでは指導者がエルフではないし、修行場所もアム・アレーンらしい砂漠なので、どうもレイクランドとは関連がないようである。ヒーラーのラミットと共通するが、ロンカ・◯◯という呪文を使うので、ロンカ帝国の技術を継承する集団だった可能性はある。

超える力の過去視で、ナイルベルトはテイナーと生き別れになった後、テイナー救出のために魔力の供給源を探す旅に出たことがわかる。そこでアルバート達と出会っているが、会話から察するに一行に加わったのが彼が最後のようだ。この出会いから始まる過去視のシーンは、アルバート達が初対面からナイルベルトの人物を知っていくものだが、プレイヤー側としても印象の薄かったナイルベルトに対して彼の紹介がなされるものでもあり、またそれと同時に彼ら一介の冒険者が英雄となっていくストーリーが合わさって描かれていて、なかなかのよく出来たものだったと思う。自身が人生をかけて助けようとしているテイナーと、そんな自分に関わりのない人々を天秤にかけざるを得ない場面は、ブランデンの選択とはまた違うがともに辛いもので、何を選び何を失い、そして英雄となったのかというところが現れていた。そして、英雄であるプレイヤーがこれからも突き付けられる選択を予感させるものでもある。

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最後のプロネーシス戦は他のジョブと比べても結構ギミックの密度が高くて難しく感じたが、これはその出自を背景として戦闘面ではナイルベルトが頭一つ突出していたことを思わせる。そしてその後、解放されたナイルベルトの想いはやはり最後までテイナーを救えなかった後悔を語るもので、英雄としての生は人間性の喪失へ通じることを示唆している。メインクエストにおいても、他ならぬ我らがプレイヤーは英雄として生きるがために人間としての死に瀕しているし、アルバートが人間としての魂を増やしてくれたから人間と英雄のバランスが取れたと見ることも出来る。以前にメインクエストを通じてプレイヤーは英雄の生き方を選択したと書いたが、これから先は有形無形あれど英雄という呪いと戦っていくことも冒険の軸になるのだろう。

ヒーラー

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ロールクエストの最後はヒーラーだ。ジョブは漆黒でゴリラと尊称される白魔道士で進めた。倒すべきは第一世界でいうドワーフのラミットを元にする罪喰い、ソープロシュネー。ラミットは原初世界の初対面時で喋る範囲においても、やや攻撃的に過ぎる他のメンツと比べてヒーラーの本分を忘れないセリフで、CVの質もあってその時点までの他のララフェル女と違う大人の女性感が強かったキャラクターだ。俺のキャラクターはララフェルだし、ラミットはドワーフで、相棒のジオットもドワーフなのでクエストは全体的に俺に良し。

ソープロシュネーは他の罪喰いを蘇生・回復する稀有な罪喰いという説明になっている。ただし無分別にそこら中の罪喰いを回復する辻ヒーラーではなく、同族のドワーフだった罪喰いのみを回復していると語られる。他の四使徒もそうだったように、本心に秘めたものが罪喰いの性質として現れることから、ラミットは他のドワーフ同様種族への帰属意識が高く、また一族思いなのだろうし、だからこそ村を出奔してまで病の治療法を探したのだろう。

エストのストーリーはソープロシュネー、ラミットそしてジオットが全員ドワーフの掟に縛られていることを軸に進む。ドワーフの掟は描写される限りで因習の域を出ず、破れば一族から追放されるなど外の世界からは奇習としか思えないものだが、ドワーフ連中は厳守するべきものとして全員それに従って生きている。ラミットは追放後も村やその掟を悪し様に言うことはなく、罪喰いになっていても掟に準じていたが、そこからドワーフの一員としての帰属意識を失っていないことが察せられる。EXクエで「伝統の心」を捨てたと言われていたが、これは因習とも言える掟にただ盲従しない姿勢のことを言っているのだと思う。罪喰いになってなお掟を守っているのだから。

自身すら蘇生する力を持つソープロシュネーに対して、この掟に縛られる性質を利用して兜を被せて回復をさせないという作戦は、見方を変えれば掟破りのラミットが再び兜を着けることを許された優しい話だったのかもしれない。最後にラミットの思いを知ったジオットが村の外で生きていくことを選択して言う言葉「掟も大事、人情も大事」に、ラミットの二つ名である節制(ソープロシュネー)が集約されている。ラミットが守りたかった世界をこれからジオットが知っていくことで、あるいはサブクエストのロニットのような世代が増えることで、ラミットの名誉がいずれ回復することを願いたいものだ。

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また、原初世界では黒魔法関連の中心的存在として確立しているララフェルだが、存在としての元を同じくするドワーフは種族としてあまり魔法に長けた描写はない。ドワーフという種族名がファンタジー一般で指すところのイメージに近く、ずんぐりむっくりのチビで採鉱や武器鍛冶を生業とし、大酒飲みでヒゲダルマと結構ステレオタイプ的だ。こういった種族一般の描写に対して、ラミットの魔法術は結構異端の存在に見える。確認できる時系列上でもラミットは最初の登場時から回復術を覚えているようだが、同様の技を持つドワーフは少なくとも現代のトメラの村にはいないようだし、現代の第一世界全体で見ても白魔法に近いことができる人物は登場していない。とすればラミットはどこでその術を体得したのだろう。

これのヒントとなるのは、ナイルベルトやラミットの魔法の冠につく「ロンカ」で、つまり3000年以上前に滅んだ魔法大国であるロンカ帝国の技術を伝承していたことが察せられる。100年前当時にはトメラの村にはロンカの術の継承者がいて、ラケティカのヴィエラ達のように細々と知識を伝えていたのかもしれない。そこからリバイヴの情報を得て習得の旅に出かけたのならロンカの遺跡に向かうのも辻褄があうし、もしそのロンカの術を伝える一派が全員ドヴェルグ病になって、その後に村を出たなら現代にいないのも整合する。

そして、ラミットを追放した当時の最長老はジオットの曽祖父というのは明らかにされたが、その最長老とラミット、つまりラミットとジオットにも血縁があったのではないかという気もする。アルバートと一番に出会った仲間だということもクエスト中で描かれるが、ヒゲヅラを見て男呼ばわりしてきたアルバートに向かって「ヒゲも生えてないアオビョウタンのヘタレ男」と口を極めて罵る激ギレセリフはジオットとの血縁を示唆していると読み取れなくもない。あれだけ口の悪いドワーフは他にいないはず。またこの悪口で最初にヒゲに言及していることとドワーフ文化ではヒゲがマストであることから、ラミットがアルバートにヒゲを生やさせた説を提唱したい。

EXクエ

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4種類のロールクエストを完遂すると最後のEXクエストが受注できるようになる。4種類のロールクエスト中に「このシルヴァって誰だ? 怪しいカットが多いが」から「そういえばアルバート達が最後に戦ったのはエルフ族の『影の王』だったな。こいつはスパイか?」にまで疑惑は深まったが、まさか『影の王』本人で、しかも最初からそこに立っていたとは気づかなかった。鋭く観察している人なら気づいていたのかもしれない。さらにシルヴァは遡ると旧版FF14のOPムービーにも出ていたというからビビる。よく拾ってきたものだ。

EXクエは基本的に戦闘などはなく、語られなかった真実についてシルヴァが説明する形で進む。その中で一番の謎というか未消化のポイントが「英雄達が捨てた心を盗むことで力を得た」と言われる謎めいたパワーアップの仕方で、結局その理屈はそれ以上の説明をされなかった。一方でその心を捨てることで光の戦士として成長し、他方ではその心を盗むと闇の力を得られるということは、心には光や闇、その他の属性があり、取捨選択によって属性の純度を高めることでその属性の力をも強められるのだろうか。実際はこの考え方自体がシルヴァの故郷である第十三世界のものなのかも知れない。また、アルバート達は光の戦士としての才能があると言われているが、心の話を結びつけて考えると、生まれ持った才能より後天的な性格や選択の方が光の戦士/闇の戦士となるために重要ということになる。英雄としての心を持っているとか英雄としての選択をしたから光の戦士として選ばれた、というと丸く収まる感じだが、詳細についてはもう少し説明がほしいところだ。

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また、EXクエに限った話でもないが、アルバートが持つ斧の血は『影の王』の返り血であるようだ。確かにEXクエ中の『影の王』との戦闘前ムービーではアルバートの斧は綺麗な状態であるが、第一世界に渡ってきた時は血で汚れている。そして漆黒のヴィランズのクライマックス、「魂ごと持っていけ」のシーンまでは血が付いているのだが、その後のエンディングでは斧が綺麗に戻っていた。察するに、過剰な光の力の集積によって罪喰い化寸前だったプレイヤーは、『影の王』の血が持つ闇の力が薬のように作用して光の力を一時的に抑制したことと、加えてアルバートの魂との融合によって、最終決戦直前にあの復活を成し遂げたのではないだろうか。この斧の血の描写はきっと意図的なものだろうと思う。

f:id:kaseeller:20190818104518p:plain (ヒゲも消えているが闇の力がヒゲになっていた…?)

シルヴァの今後は光の戦士達の名誉を回復するべく語り部となるということで、英雄であるプレイヤーとしてもそれが成功することが恩返しであり、はなむけになるものと感じていることだろう。ここ至ってようやく漆黒のヴィランズ5.0メインストーリーが終わった。光の戦士達の想いを継ぐことが出来た。

3.跋文

書きも書いたり自分でも驚くくらい吐き出した。それだけ漆黒のヴィランズが強かったということでもある。ロールクエスト中に語られなかった範囲のことは今後何かの形でゲーム中に説明されるのかもしれない。アルバート達は非業の最期を遂げ、しかしプレイヤーと相棒たちによりロールクエEXクエを通じて名誉を取り戻せた。今後はシルヴァがいうように「ただの気のいい連中」としての物語も見たい。漆黒秘話でもいいぞ。

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(スタッフロール中にこんなんをしれっとブチ込んでくる運営は鬼)
(ナイルベルト楽器弾けたんだ)
(ラミットが乾杯ラリホーもう一杯している)